噛み癖・吠え癖・ほとんどの問題を抱えた犬のしつけ
週末のお勉強会でのこと
その方は初めて飼育したのが大型犬でした。今になってこそお話しされるのですが、もうどうしたら良いか解らなかった。気を遣っていた。
早くに来てくれれば良かったのに・・・。
2010/3/1現在も週末のお勉強会に参加していらっしゃるのですが、完全に変わりました。
愛犬が変わったかって?違うんです。オーナーさんなんですね、一番変わったのは。
しつけについて考えられ、はじめてお越しになったときのことを未だに覚えています。
噛み癖はもちろん、吠え癖、それに強烈な引っ張り、それにパニック、恐怖。ほとんどすべての問題を抱えた子でした。唯一の救いが、人に対しては大丈夫。しかも大人ですね。小さな子供を見ると向かっていこうとし吠えかかる。それも凄まじい吠えっぷり・・・・。
その子を見たとき、・・・・・はあ~・・・・、今までで最強や・・・・・。
何というか、そのインパクトの強さは計り知れないものを持っていました、心身ともに・・・。
そりゃ~、どうしようもない・・・。でも、私の中途半端な日記などで、ムカっとくるけど怒ったりしてはいけない。などと考え込んでおられたようで・・。付き合い方がまったく解らないというか、その子に対して相当気を遣って過ごしていたそうです。
まあ、最初は群れの中に入れますよね。この子はしっかりと刷り込みを入れた子ですので安心はしていました。
「絶対に治る!」って。
・・・・・でも、その子を見ているとだんだんと不安を感じるようになったんですね・・・・。心の成長をさせなければ、まず無理だって。本当はコレが一番大切なんですよ。訓練所で心の成長を見て訓練しているところなんて知らないんですよね。しっかりと命令に従う訓練ですから、それの心の成長と飼い主との信頼関係が伴っていなければ犬として家族の一人として、全く意味がない。常にそう考えている私は、この子をどうやって・・・・。考え込みました。
と言いましても、どうしようもないですから、とりあえずその子の行動を見守ることにしました。
う~~ん・・・、ただのガキ・・・・。その子は根が正直者ですから、良く気持ちが理解できる。
もうパニックと恐怖で、どうしようも出来ないんです。自分では自分のパワーを理解しているようですが、それを上手に力を出すことができないのです。これは完全に経験不足と我が儘坊主。これが問題だと気づくのにさほど時間はかかりませんでした。もうデッカイ身体をした子が、小さくなってオロオロ。
こんな子は、まず心に余裕をつけさせないとダメなんですよね。
人間の命令を聞く為の訓練ではいけません。
まずはいつどのような時でも飼い主の声を聞いたとき、パッと冷静になれるような心の余裕を作らなければなりません。
まずはその場の雰囲気を理解させることから始めました。
最初はアローからどつかれまくっていました。でも、どうして良いか解らず背中を丸め逃げ出すことしかできなかったんですよね。
でも人に対してはかなり横柄な態度とるんです。
背中を扱った瞬間に、歯を当ててくるんです。というか咬むんです。
飼い主でも他人でもまったく関係ないようでした。こりゃいけない。教えていく私に対して咬んでくるようなことはあってはならない。
この行為は、噛み癖というよりも、我が儘からなんですね、触るな!っていう表現ですよ。○○しろ!てなふう。これが無駄吠えにもなっていたんです。
要求吠え。満足できないとず~~~っと吠えているんですよね。しかもメチャメチャ大きな声で。
作ったような艶のある要求吠えとは違うんですね。けたたましく連続で吠えて・・・。後者の場合、間が入って一回ずつを数回するくらいですが、その子は違いました。果てしなくずっとですから・・・。
これを無理矢理に教え込んでも意味がないんです。
でもそのまえに心に余裕を作ることが先で、自分で冷静に考える心の余裕を自分で気づかせることが大切だったんですね。
それでオーナーさんにアローが近づいてきたら、その子を庇って冷静でいられるように、その子とアローの前に入って貰うようにしてもらいました。
落ち着いていられるようにするために。
まあ、この子、自分に対しての自信はあったようですが、それをどうやって表現して良いか理解していなかったものですから、群れの中で付き合いながら気づかせていくことにしたんですね。
毎週毎週。それで2ヶ月後くらいでしょうか、すでにアローがけしかけてきても、さらっと冷静に流すことができるようになりました。
男の子っていうのは、相手の仕草・行動によって、自分のほうが強いか弱いかの判断をして、それでけしかけていくんですよね。大抵一発鼻先を横腹の上に入れるだけで終了。
これが余裕があり自信溢れる子のとる行動でもあります。それをだんだんとアローがその子に対してしなくなってきたんですよね。
その子の態度がようやくごく普通に振る舞える仕草を見せていたからです。
背中を丸め込んでオドオドしていたら、男の子のリーダー格であるアローが自分の力を見せつけるんですよね、低い唸りと鼻先でつついて。
それをさらっと受け流すようになると、今度は匂いをかぎ始めます。まずは小さな子から。そしてだんだんと自由に行動するようになりました。
心の成長が促されている証拠です。
それから屋外での様子を観察するために、人と犬がいっぱいいるところに行ったのですが、パニックになっていて、どうしようもなかったんですね。
小さな子供を見かけると吠えかかり、犬を見ると吠えかかり鳩を見ても吠えかかり・・・。
まだまだ余裕ができていない。もちろん飼い主さんとの関係もぜんぜん出来ていない。
そこで今度は私のことを認めさせることに切り替えました。
まあ、これは意外と簡単です。
それから時間をかけ、群れの中に放置し、そして自分で納得できる心の余裕を促しました。
それからでしょうか、だんだんと落ち着きが出てきました。
そしてようやく強烈な引っ張り癖を本格的に矯正し始めました。
これはすぐに終わりました。興奮さえしなければたいてい大丈夫なくらいに。
それもオーナーさん自身で教えて貰いました。やり方さえ理解できると意外と簡単なんです。
その日のうちに結果がでてきました。
それからでしょうか、以前はオーナーさんが注意してもまったく聞く耳持たなかった子がウチのスリッパを脇目もふらずボロボロに引きちぎるような行為を行っていましたが、しなくなってきたんですよね。
引っ張り癖を直しながら、自分のほうに耳を傾ける。
これに気をつけて散歩する。もしくは付き合っていくようにお話しして、やり方をお話しして実践していただきました。
そして例の超短いリードを渡して、モニターになっていただいたんですね。
そして二週目の昨日(つまり3/1の前日)とうとうその効果がしっかりと現れ始めたんです。
連れてこられても、最初は嫌がって嫌がって柵の中に入らず、私が無理矢理に入れていたことが最初のウチはあったのですが、
それがだんだんと自分がオーナーさんを引っ張られてくるようになり、昨日はなんと喜びながらそう急がずに柵の中に入ってきたんですよね。
入ってきたその子を見ると、何か先週と違うんですよね~、雰囲気が・・・。
試しに呼んでみたところ、ほとんど無視・・・。
それでオーナーさんから呼んで貰うと、全然違う・・・。
完全にオーナーさんに従うようになってきたんです。しかも、オーナーさんが注意すると、ウチの子が、耳をぴたりと後ろに倒してしっかりと聞く耳持っている状態と同じ仕草を見せるのです。
たまたま別のオーナーさんが来られておりまして、女の子連れてこられていたのですが、その子の上に乗ろうとしますので、今までは私の役目でしたが、それをオーナーさん自身に注意していただくと、
明らかにオーナーさんの声に従っているのです。だんだんとオーナーさんの存在を認め始めたのです。
これを見たとき、もの凄く嬉しかったんですよね。でもその反面、もの凄く哀しい・・・・。
しかも、今までのオーナーさんがその子に対して話していた言い方と比べ、明らかに力強い言い方に変わっていたのです。
何かきっかけを掴まれたようです。
その様子をずっと見ていると、どうもようやくその子は飼い主さんを頼りとしてきたようで、先週との違いがはっきりと現れたのが、
ウチの部屋にオーナーさんとその子を入れたときに現れました。
部屋にはいると、何かしら持ってきて破壊していた行為が、オーナーさんの中だけでモノを咬まずに止めるようになっていたのです。
その注意の仕方が実に上手い。モノを取ろうとする前に声をかけるようになられました。これがモノを咬んだとたん興奮して飼い主の声が届きにくくなるのですが、その子が探し始めたとたん、行動制限の合図を送るようになられたのです。それに対してしっかりと耳を傾けるんです。
首を上から掴みながらフセをさせると、ヒンヒン言いながら、力を使わずに従い、落ち着いて伏せているんです。
そして横たえてって言うと、そのオーナーさんがいとも簡単に横たえることができるようになっていたのです。
しっかりと聞く耳を持ったんですね。オーナーさんのことを認め初めている証拠です。
今までは首を持とうモノなら、咬まれていたそうで、毎日腕に青あざを作ってらっしゃったのが、今ではすっかりそのようなことがなくなってしまいました。
そして今までの事を振り返りながらオーナーさんとお話ししていたのですが、もうどうしようもないくらいの愛情を注がれているんです。
たぶんこれお読みになったら自分のことだってお解りになるはず。
良く感じ取ってみて下さい。以前のその子に対しての愛情と、今の愛情ってまったく違うでしょ?
なんか、もう堪らないでしょ?これが本当の愛情なんですよね。
その落ち着きのため、もの凄い大人らしい表情となったその子、そして本当に余裕が出てきたオーナー様。
こればっかりは二人の関係ですので、私が無理矢理作ることができないんですね。
その様子を見ていて、オーナーさんに言いました。
たぶん、帰りがけは無駄吠えしないでかえるんじゃない?
その前の週までは吠えながら帰って行ってたんですよね。要求吠えの超大きなヤツを連呼して。
まあ、いきなり静かに変えることが出来るって自信がないような返事でしたが、
昨日の帰りがけは、見事無駄吠えがなくなったのです。
私、思うんですよね、どうしてそのことばかりに気を取られて、本質が見えていないのかなって・・・。
無駄吠えなら無駄吠えだけを注意し、噛み癖はキミ癖ばっかりをクローズアップし、引っ張り癖は引っ張り癖を主張する。
違うんですよね、本当の問題行動は、愛犬が頼りとする人かどうか認めているか認めていないかなんです。
問題行動とは、愛犬じゃなくて実はそのことに気づかない人間の考えが、実は問題行動となって現れていたのですね。
さて、そう言うことで、確実に基礎が出来上がりましたから、これからは、細かなことを理解させるお勉強会に切り替えていく予定です。ただ、他の方のレベルにあわせるようになるんですけどね・・・・。あとはすべてオーナーさんとその子が一緒に経験し、落ち着いて理解していくことを考えながら、あの子にあわせてやり方変えながら、しっかりと育てていきましょう。きっと父ソニックを超えますから。
